女好きに借金苦、喧嘩ばかりの文豪たちの素顔!誰よりも人間らしかった文豪たちの生き様

昨今、文学者=文豪やその周辺世界をモチーフとした新たなジャンルが注目を浴びています。

『文豪ストレイドッグス』や『或る日、木曜会で。』『月に吠えらんねえ』などの文豪マンガ。『文豪とアルケミスト』といった文豪ゲーム、『啄木鳥探偵処』や『探偵太宰治』『ダビデの星の暗号』といった文豪小説などもあります。

特に、『文豪ストレイドッグス』、『文豪とアルケミスト』、『啄木鳥探偵處』はアニメ化もされ人気を博しています。これらの作品で、文豪自身に興味を持った人も少なくないはずです。どの作品も実在の文豪の人となりを生かしたキャラクターが登場します。

それでは、実在した文豪たちはどんな人物だったのでしょうか。その素顔も気になるところ。文豪の素顔を知ることで、彼らの作品への興味も理解度も深まります。

そこで今回は、筆者もハマった文豪たちを紹介します。特に明治から昭和にかけて活躍する文豪たちです。彼らの人間関係も紹介し、その魅力に迫ります!

「文豪」ブームとは

文豪をモチーフにした作品でも特に人気の高いのが『文豪ストレイドッグス』や『文豪とアルケミスト』あたりでしょう。これらの作品はメディアミックス展開もされています。

登場する文豪たちの魅力的なことといったら!彼らのおかげで「実在する文豪」が注目されるようになったことは疑う余地もありません。ここでは、架空の文豪が登場する作品、実在する文豪の魅力について紹介します。

文豪が登場する作品

文豪ストレイドッグス

『文豪ストレイドッグス』は、中島敦、太宰治といった誰でも知っているような文豪をオリジナルにキャラクター化。登場人物たちが、その文豪の作品と同じ名前の異能力を持ち戦うアクションマンガです。マンガ、アニメ、小説、ゲーム、舞台、実写映画……次々とメディアミックス展開がなされている人気作品。

孤児院を追い出された中島敦と入水自殺を図っていた太宰治が偶然出会います。敦は、太宰が所属する異能集団・武装探偵社で働くことに。自分でも気付かぬうちに異能力を持っていた敦。そんな中島敦と武装探偵社のメンバーがヨコハマを守るため戦う姿を描いた物語です。

登場する文豪に、国木田独歩、江戸川乱歩、谷崎潤一郎、宮沢賢治、与謝野晶子、福沢諭吉、泉鏡花、芥川龍之介、中原中也などがいます。

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文豪とアルケミスト

『文豪とアルケミスト』は、2016年からサービスの開始されたブラウザゲームです。

ある時、文学書が黒く染まるという現象が起こります。しかも、人々からそれらの文学書の記憶も消えてしまうのでした。この現象は「侵蝕者」によるもの。彼らは、本の中の世界を破壊すべく現れます。

そんな侵蝕者から文学者を守るため、「アルケミスト」と呼ばれる能力者が、国定図書館に集められます。このアルケミストはみな、文豪を転生させた者たち

アルケミストと侵蝕者の戦いを描いた物語です。ゲームの人気を受け、アニメ化、舞台化とされていきました。

登場する文豪も非常に多く、次のような人物があげられます。芥川龍之介、太宰治、萩原朔太郎、中原中也、泉鏡花、夏目漱石、宮沢賢治、谷崎潤一郎、永井荷風、島崎藤村などが登場。文豪のエピソードや性格などがそのまま設定として使われているところが非常に魅力的です。

啄木鳥探偵處(きつつきたんていどころ)

『啄木鳥探偵處』は、伊井圭原作のミステリ小説です。

主人公は「一握の砂」などの歌で知られる、歌人・石川啄木。朝日新聞社の校正係で働くも、妻と母親を養うには足りず、探偵業を始めることになります。その助手を成り行きで務めるのが、同郷の金田一京助です。啄木の才能に惚れ込んでおり、たびたび金を貸しています。

石川啄木と金田一京助がコンビを組み、明治から大正に起こった難事件を解決に導いていくという物語。後にアニメ化され、こちらには石川啄木、金田一京助以外に、オリジナルキャラクターとして、野村胡堂、平井太郎、吉井勇、萩原朔太郎、若山牧水、芥川龍之介などが登場します。

文豪の魅力とその作品

文豪をモチーフにした作品では、実在する文豪の才能、その才能に嫉妬する者、創作への悩みなどが生かされているエピソードを取り入れたりもしています。

実在する文豪たちは変わり者も多いですが、自身の創作意欲をはばかることなく、勝手気ままに生きている様は羨ましくもあります。自分に正直に生きる、プライベートの内情も包み隠さず創作の糧にしてしまうなどは、凡人にはなかなか真似ができません。

自分をさらけ出し、それを文学に落とし込む。そんな作品だからこそ、人々を魅了して止まないのでしょう。

文豪の魅力
文豪の魅力

「文豪」の素顔とオススメの作品

夏目漱石:ユーモアセンス抜群だった漱石は大病を患い人間の暗部を描くように

夏目漱石
夏目漱石

日本一売れた小説『こころ』の作者・夏目漱石。本名は夏目金之助。江戸の裕福な家庭に育った夏目漱石は、幼くして養子に出されました。病弱で3歳の時には、天然痘を患ったといいます。

その後、体だけでなく、心も神経症で悩まされる人生を送ります。そんな漱石が心のリハビリのため始めたのが小説執筆だったのです。たちまちその才能を開花させます。

漱石を慕い、書生などが漱石の書斎に集まることから始まったのが木曜会。弟子には内田百閒をはじめ、帝大の学生だった芥川龍之介がいます。

処女作『吾輩は猫である』や『坊ちゃん』からもわかるように、そもそもは非常にユーモアセンスを持ち合わせている漱石。晩年、そんな漱石が大病を患ってからは、徐々に人間の暗部を描くようになっていくのでした。

漱石の親友が、俳句、短歌の近代化を推進した正岡子規。東大予備門の同窓生でした。小説『三四郎』にも子規の大食いエピソードが登場します。

おすすめ作品:『夢十夜』

夏目漱石作品では珍しい幻想的な10本の夢物語「こんな夢を見た」で始まる部分が広く知られています。筆者が特に印象に残っているのが「第一夜」です。

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太宰治:モテた太宰はナルシスト、2度の自殺未遂に友人を熱海へ置き去りにしたことも

太宰治
太宰治

太宰治といえば、『人間失格』や『斜陽』、『走れメロス』など読んだことはなくとも、タイトルだけは知っているという人も多いでしょう。かなりのお騒がせ人物でした。2度の自殺未遂、借金のカタに友人の檀一雄を熱海に置き去りにした事件など数々のエピソードを残しています。

太宰治、坂口安吾、織田作之助は無頼派と呼ばれ熱い親交がありました。また、ナルシストでもあり、外見へのこだわりが半端なかったようです。

そんな太宰ですが、自身がモデルとなった『人間失格』にもあるように、女性からはとてもモテました。女性の心理を巧みに読み取り、女心をくすぐる術を身につけていたようです。

そのほか、芥川龍之介を尊敬して止まない太宰は、ノートいっぱいに龍之介と名前を埋め尽くすほど。芥川賞を熱望していましたが、とうとう受賞することは叶いませんでした。その恨み節を選考委員だった川端康成にぶつけたりもしています。

最期は、39歳という若さで入水自殺をしこの世を去りました。遺作となった『グッドバイ』は未完となっています。

おすすめ作品:『東京八景』

太宰の自伝的随筆。上京してからのさまざまな出来事から、30歳にてようやく本腰を入れて作家として生きていく覚悟を決めた作品です。人間の弱さ、脆さに思わず共感してしまいます。そこが太宰の魅力ですよね。

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芥川龍之介:東大出身のエリート!モテた龍之介は1日80本のヘビースモーカー

芥川龍之介
芥川龍之介

芥川龍之介の実母は発狂して自らの手でこの世をさりました。その時、龍之介は11歳。その後の彼の精神に深く影響することとなります。しかし、龍之介が引き取られた芥川家の養父母のおかげで文学や絵画に親しむことに。

とても優秀だったので、無試験で第一高等学校、さらに東京帝国大学へと進むエリートでした。そんな芥川龍之介の親友は菊池寛。第一高等学校で知り合います。菊池寛、久米正雄らとともに「新思潮」を創刊しました。菊池寛は、誰もが知る芥川賞と直木賞を創設した本人です。

自身が愛した女性には、ロマンティックな恋文を何度も送り、女性たちからは非常にモテたという龍之介。しかし、大変なヘビースモーカーで、ゴールデンバットを1日80本も吸っていたといいます。徐々に神経を病んでいき、35歳で睡眠自殺を図ります。遺書には「ぼんやりとした不安」と書かれたいたそうです。

おすすめ作品:『地獄変』

自身の芸術のために、実の娘が火の中で悶え苦しむ様子を屛風絵に描く絵仏師の悲劇を描いた物語。人間の狂気ほど恐ろしいものはないですね。

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谷崎潤一郎:3度の結婚のうえ妻の妹にまで恋をする!スキャンダルの王様だった恋愛履歴

谷崎潤一郎
谷崎潤一郎

谷崎潤一郎は女性の美を耽美的に描いた作家です。大の女好きで、生涯3回の結婚をしましたが、結婚後も多くの女性たちと関係を持つほどでした。 最初の妻である千代の妹・せい子にまで恋してしまう始末。このせい子をモデルに執筆したのが『痴人の愛』です。

また、谷崎とせい子の件で悪化した千代との関係。そのことに同情した谷崎の親友・佐藤春夫は千代に好意を寄せることに。佐藤に千代を譲ることにした谷崎でしたが、後に撤回したことを「小田原事件」と呼んでいます。

結局、谷崎と千代は離婚し、佐藤春夫と再婚。このことが「細君譲渡事件」というスキャンダルとして世に広まることになるのでした。

とはいえ、その作品がもたらした功績は計り知れません。現代でも愛され続けている文豪のひとりですね。

おすすめ作品:『春琴抄』

谷崎作品は内外問わず高い評価を受けています。また幾度となく映像化もされており、この『春琴抄』もそのひとつ。香り立つような美しい文章と表現力の豊かさに才能を感じずにはいられません。

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志賀直哉:太宰治と大バトルも!荒くれ者ではあるが大の動物好き

志賀直哉
志賀直哉

「小説の神様」志賀直哉無駄のない簡潔な文体から小説の理想形として、そう呼ばれています。学習院中等科で同窓となった武者小路実篤とは、生涯に渡る親友に。ともに写実主義を謳う「白樺」を創刊し「白樺派」の代表作家となります。

大の動物好きとしても知られています。自宅にはアヒルやらウサギやら多数飼っていました。「骨董品を買ってくる」と言って、犬を買って帰ってきたことも。子熊も引き取ろうとしたところ、妻に止められ断念したそうです。

一方でひとたびキレるとかなりの荒くれ者に。政財界に影響力のある父への反抗や妻へつらく当たるなど温厚な面とは真逆の一面も。

また、太宰治の『斜陽』を一蹴したことで、逆に太宰から痛烈な批判を受けます。太宰が情死した後は、自身の発言が太宰を傷つけたことを認め後悔の念を書き記しました。

おすすめ作品:『城の崎にて』

志賀直哉の私小説。列車事故に遭う直哉。その療養先の城崎で、命について見つめ直す様を描いています。ここでも、蟻やイモリが登場。本当に動物好きなんですね。

川端康成:借金が多すぎて生活苦!家に入った泥棒を目ヂカラで追い出したことも

川端康成
川端康成

幼くして両親を亡くし、祖父母や姉も康成10代にして全て亡くなってしまいました。孤独な康成少年は中学時代に寄宿舎に入ることに。そこで、芥川龍之介、菊池寛、横光利一と出会います。この横光利一とは、共に「新感覚派」として評価され親友に

寡黙な性格と強い目ヂカラが印象的な川端康成。訪ねていく担当編集ともほとんど会話を交わすことがなかったようです。また、家に入った泥棒をその目ヂカラだけで追い出したというエピソードも。

太宰治が第1回芥川賞候補となり、その受賞を逃した際には、選考委員だった「川端康成を刺す」との寄稿が。恐れた康成が謝罪文を掲載したといいます。

ひとつ気になるのは、人気作家ではあるものの借金もまた多かったとのこと。なかなか社会生活を送るには大変な人だったようですね。とはいえ、1968年には、日本人初のノーベル文学賞受賞。日本を代表する文豪のひとりです。

おすすめ作品:『眠れる美女』

三島由紀夫も惚れ込んだという傑作。不思議な世界観の物語。よく考えれば異常なシチュエーションではありますが、康成の美しい文章のせいかするすると読めてしまいますよ

萩原朔太郎:落第を繰り返した朔太郎は楽器を親しむ温室育ち

萩原朔太郎
萩原朔太郎

裕福な家庭に育ち、楽器に親しむ萩原朔太郎。一方で、全くもって学業には身が入らず、落第を繰り返したといいます。詩を書くようになってからも、その音楽好きが変わることはありませんでした。

近代詩の先がけとして活躍。『月に吠える』や『青猫』など平素な口語体で表現しています

2度の離婚を経験するも、朔太郎にとっては女性との関わりよりも、男性との友情の方が遥かに上回っていたようです。というのも、恩師である北原白秋や親友の室生犀星との間には、友情以上の感情があったといわれています。白秋にあてた手紙には「私の恋人が2人出来ました。室生犀星とあなたです」と書かれたいたとのこと。

また、朔太郎は室生犀星に会う前、彼の詩を読んでどんな美少年だろうかと勝手に思い込んでいました。実際会うと、あまりにも想像と異なる容姿から、最初の出会いはお互い最悪だったといいます。その後、話すうちにすぐに打ち解けたといいますから、本当に気が合う2人なのでしょうね。

おすすめ作品:『青猫』

朔太郎の私生活があまりいい状態でない時に書かれて詩集ですが、美しい詩が多く収録されています。

石川啄木:カンニングがバレ、出席日数足らずに退学に!金遣いが荒く娼館大好き

石川啄木
石川啄木

幼い頃は神童ともてはやされるも、なかなか一筋縄ではいかない子どもだった石川啄木。実母にとっては唯一の男児だったこともあり溺愛されて育ちました。

しかし、中学時代にはカンニングがばれ、出席日数も足りず学校を退学することに。その頃、与謝野晶子らの短歌に親しむことで、自らも作り出します。最初のうちはなかなか大きな評価を受けることはありませんでした。

それでも、親友の金田一京助は啄木の才能を信じ、何度もお金を用立てたようです。しかし、妻がいる身で、そのお金を使い浅草の娼館に通いつめたというから、かなりの最低男です。その様子をわざわざローマ字で日記として書き記していたといいます。

繊細な短歌とはまた別の顔を持つ石川啄木。文豪の中でも、作品イメージと本人が最もかけ離れている人物かもしれませんね。

おすすめ作品:『一握の砂』

本人と作品とは別物。彼の詠む短歌は本当に素晴らしいと思います。

森鷗外:医学校に年齢偽り12歳で合格する天才!ドイツ留学もした鴎外の妻は美人ばかり

森鷗外
森鷗外

大変優秀だった森鴎外。入学資格が14歳という東京医学校に、年齢を偽りわずか12歳で合格してしまいます。本名は森林太郎。藩の典医を務める家系の出でした。

医学部卒業後、ドイツへ留学。細菌学の世界的権威であるコッホ研究所に派遣されることに。このドイツ留学で知り合ったのが、青い瞳の美女・エリーゼです。彼女をモデルに書かれたのが代表作『舞姫』。ある時、エリーゼが林太郎会いたさに日本まで追いかけてきたというエピソードも。

鴎外の1度目の結婚はうまくいかず結婚の翌年には離婚。しばらく独身でいるも、40歳の時、再婚します。この時の妻もかなりの美人だったとのこと。

日本に戻ってからは軍医として、出世街道を駆け上るのでした。文壇でも高い評価を受け、その簡潔な文体はなかなか真似できるものではありません

ただ、漢文調であるため英語訳に直すことができず、海外での出版がほとんどされていないという現状があります。もっと多くの国で鴎外作品が親しまれていたら、海外での日本文学の評価もまた違ったものになったかもしれませんね。

おすすめ作品:『最後の一句』

短篇とはいえ、なかなか充実の一遍。最後の一句がいつまでも胸に残ります

泉鏡花:異常なまでの潔癖症でマザコン気質!お菓子もアルコールランプで炙って食べる

泉鏡花
泉鏡花

多くの作品が映像化され、現代もなお愛され続けている幻想文学の先駆者・泉鏡花尾崎紅葉に師事し、『夜行巡査』『外科室』などで評価を得ます。同じ門下生に徳田秋声などがいます。

異常なまでの潔癖症で、生ものは口にせず、菓子でさえアルコールランプで炙ってから食べたとのこと。酒も煮立つまで燗をつけたことから、これを泉燗と呼んだそうです。

幼くして母を亡くしたことが大きく影響しておりマザコンの気質も。生涯の伴侶と母の名が同じ「すず」でした。神楽坂の芸奴だったすずとの仲を紅葉に反対され、密会していた鏡花。紅葉の死後、ようやく同棲することができました。

紅葉を神格化していた鏡花は、秋声が紅葉を悪く言ったことで激高したというエピソードも残っています。その後、互いに距離を置いていたという2人。しかし、鏡花が亡くなった時、臨終に間に合わなかった秋声は泣いていたといいます。不思議な友情があったのかもしれませんね。

江戸の文芸に影響を受けたロマンティシズムや美学を持つ泉鏡花の世界観は、唯一無二の才能として多くのファンに支持されています。

おすすめ作品:『日本橋』

流れるような文体は快いリズムを奏でます。着物の描写、会話などまるでその場で聞いているかのような表現はさすがです。

中原中也:三角関係に喧嘩っ早い!141cmの身長からは想像できないヤンチャな性格

中原中也
中原中也

裕福な家庭の待望の長男として大事に育てられた中原中也。神童と呼ばれた中也でしたが、弟の死をきっかけに次第に詩の世界に興味を持つように。自分でも詩の作成を始め、詩と文学の世界にのめり込んでいきます。勉強そっちのけで落第までする始末。

両親は京都の学校に転校させますが、ここで下宿を始めたことで、長谷川泰子と出会います。上京した後、親友となる小林秀雄と泰子を巡って三角関係に

東京では、小林以外にも多くの文豪と会いますが、酒乱で周囲を困らせていました。坂口安吾や檀一雄にケンカを売ってはやり返されることを繰り返します。中也の身長は141cmと小柄でしたが、負けん気が強く、その繊細な作品とは真逆の性格だったことが窺えます。

生前に出版されたのは『山羊の歌』のみでしたが、生涯で残した詩は350篇以上ありました。死後、小林秀雄によって出版された中也の詩集が『在りし日の歌』です。

おすすめの作品:『山羊の歌』

詩集『山羊の歌』に収録されている『汚れちまった悲しみに・・・・・・』が中也の代表作。言葉の持つリズム、言葉のセレクション、詩の持つイメージ、全てが秀逸です。

三島由紀夫:外見コンプレックスで肉体改造!愛国心から陸上自衛隊駐屯地で割腹自殺

三島由紀夫
三島由紀夫

戦後の日本文学に多大なる影響を与えた三島由紀夫ノーベル文学賞候補にもなり、国際的にも高い評価を受けた稀有な存在です。作品は未読であっても、この名を知らない人はいないのでは。

作家としての活動に止まらず、劇作家、俳優、政治活動家などいくつもの顔を持ち、メディアにも多く登場しました。体を鍛えることにも励み、ボディビルにものめり込みます。その肉体美を惜しげもなく披露することもありました。

幼い頃は軟弱でいじめの対象にもなっていた三島少年はその外見にコンプレックスを持ち、外見の強さも求めた結果だったといいます。次第に、日本の政治に憂いを感じ独自の愛国心から、市ヶ谷の陸上自衛隊駐屯地にて割腹自殺をしたことはあまりにも有名ですね。

三島由紀夫の影響力は文壇のみならず日本中を圧巻しました。彼の遺した数多くの作品は、三島本人同様に今なお愛され続けています。

おすすめの作品:『鹿鳴館』

戯曲作品です。4人の男女のすれ違い、陰謀を描いた物語。明治の華族の世界なども垣間見ることができます。

まとめ

文豪が登場する創作の物語から文豪本人の素顔を紹介しました。今回紹介した文豪は、みな個性的で変わり者ばかり。時に最低なことも。とはいえ、それを凌駕するほどの才能も持ち合わせています

それぞれのエピソードは突拍子もありませんが、それがまた文豪の憎めないところ。幼少期に身内を亡くしている人物も多く、そのことが創作に影響を与えている場合も少なくないようです。

文豪自身に興味を持たれた方はぜひ、その作品にも触れてみてください。きっと改たな文豪の魅力に気付くことができるはずですよ!

この記事を書いた人

kayser

元映画業界在籍。現在は一児の母で、エンタテインメント中心の記事を執筆するWEBライター。最近はマンガ記事多数。映像企画やオンラインセミナーのサポートなどもやっています。
2021年より、映画ライターの松弥々子さんと「犬猫映文館」を立ち上げ、noteを始めました。