ブレンドコーヒーではなく、一杯づつ丁寧に淹れるコーヒーをカフェで頼む時は、どこで生産されたコーヒーか選べる場所をよく見かけます。
私がコーヒーについて全然知らない時は、なんとなくコーヒーの生産で有名そうな国を選んでみたりコーヒーの味の説明文をみて選んでました。
コーヒーはワインと似ており、ワインにはブドウの種類によって辛口や甘口などの特徴があるように、コーヒー豆にもそれぞれ特徴があるのです。
コーヒーの場合は、コーヒー豆の原産地だけでなく生産過程が違うだけでコーヒーの味が異なるので、生産地だけでコーヒーを選んでも好きな味ではない可能性があります。
少しマニアックな話にはなりますが、コーヒー豆の生産過程でどんな風に味が変わるのか、私が好きなコーヒーの特徴を紹介していきます。
コーヒー豆はフルーツの仲間のひとつ!
コーヒーと聞いた時に出てくるイメージは黒色もしくは焦げ茶色の飲み物で、スーパーでも茶色のコーヒー豆や挽いた豆からできているくらいの認識しかない人が多いのではないでしょうか。
コーヒーは木にできる赤色のコーヒーチェリーが本来の姿で、その種にあたる部分をコーヒーに使われています。
初めてコーヒーを淹れることに至った経緯は色々な説がありますが、コーヒーチェリーの種を乾燥させることで今のコーヒーが生まれました。
コーヒーチェリーの種を取り出した時は黄色よりの黄緑色の種を見つけることができ、コーヒー豆を作るために種の周りにある果肉部分やミューレージ(チェリーを食べた時に種の周りに引っ付いている部分のようなもの)を取り除き乾燥させることでコーヒー豆ができます。
さらにコーヒーチェリーはコーヒーだけでなく、フルーツティーとしても使われているので、飲み物に適したチェリーと言えます。
コーヒーの風味を分けるプロセス方法!
コーヒーを飲んだ時に感じる風味に対して第一印象を大きく変えてくるのが、コーヒーができるまでのプロセス方法です。
ここのプロセス方法が異なるだけでコーヒーの風味に好き嫌いが大きく分かれやすく、ニュージーランドでも気にするお客さんをよく見かけます。
現在では多くのプロセスがあるので細かく分けると書ききれなため、最も定番のプロセス方法を2つ紹介します。
ウォッシュトプロセス(癖のないスッキリとした後味)
ウォッシュトプロセスは世界のコーヒー生産地で1番多く取り扱われているプロセスです。
コーヒーチェリーの果肉部分を取り除いた後に、発酵槽でミューシレージを取り除いたら、水で洗い流し乾燥させることで精製されます。
最初に果肉部分を取り除くことで、コーヒーの味に雑味がなくとてもクリーンな味わいが楽しめます。
コーヒー果実の独特感がないので、癖のない味でほんのりとしたフレーバーが口の中に広がりスッキリした後口です。
ナチュラルプロセス(甘みとフルーティーな味)
ナチュラルプロセスは一番古くから用いられている方法で、収穫したコーヒーチェリーをそのまま天日干ししてコーヒー豆を精製するプロセスです。
天日干ししたコーヒーチェリーは種から適度な水分量が抜け皮ごと脱穀し、コーヒー豆を取り出すので水を一切使わずシンプルに精製することができます。
屋外にコーヒーチェリーを並べて乾燥させるため、天候に左右されたりコーヒー豆の水分量を調節することが難しい方法ですが、乾燥する過程で果実ごと発酵し、コーヒーチェリーの持つ独特の香りがコーヒーから感じられるようになります。
そのため、ウォッシュプロセスと比べるとコーヒーを飲んだ時のチェリーのフルーツ感を強く感じて、コーヒーが本来フルーツであることを思い出させてくれると同時に、とてもリッチなフレーバーが口の中で広がるのです。
コーヒーから甘みを感じたい人やフルーティーなコーヒーが好きな人にはオススメしたいプロセスです。
コーヒー豆の原産地で異なる風味の違い!
コーヒー豆はどこの国でも同じではなく、気候や土地の状態によってコーヒーの持つ味が変化します。
そのため、カフェではどこの国のコーヒー豆を飲みたいか選ぶことができるのです。
ワイン同様に、コーヒーの農家ごとでも異なった特徴のコーヒー豆があるものの、大きな括りとして国ごとで違う味になります。
コーヒー豆の生産地として有名な国の中でも、いくつか代表的な国のコーヒー生産地について紹介します。
定番の味に近い「ブラジル」
ブラジルはコーヒー生産大国で色々なところで見かけます。
特にブラジルの豆は苦味と酸味がどちらも程よく含まれており、日本のブレンドコーヒーの定番の味に近いです。
ブラジルのコーヒーをテイスティングしてみると、ジャガイモやナッツの香ばしさやチョコレートの濃厚さ、少しの柑橘風味が感じられます。
ミルクチョコレートやアーモンドチョコレートを食べているときをイメージしてみると、チョコを食べている合間に牛乳を飲むと口の中でクリーミーさと全ての美味しさが混ざり合いませんか?
ナッツやチョコレートにミルクを合わせると旨味が抜群ということもあり、ラテやカプチーノといったミルクコーヒーにブラジルの豆が使われることが多いです。
もちろんコクや香りもしっかり含まれており、ブラジルの豆のみでコーヒーを作るとドライフルーツのようなキリッとした味も楽しめたりと幅が広いフレーバーともいえます。
フルーティーさとコクが特徴「コロンビア」
コロンビアで育ったコーヒー豆はフレーバーのバランスがとても良く、フルーティーさのコクを味わいながらもスッキリと飲めます。
酸味が強い、苦味がある方がいいというタイプではなく、誰にでも親しまれやすい味なので、カフェで目にすることが多いかと思います。
また、コロンビアはコーヒーの生産量が多く、ウォッシュプロセスやナチュラルといった定番のものから発酵フレーバーが多く含まれたファーメンテーションプロセスなど幅広く扱われているのも特徴です。
世界的に知名度が高い「ケニア」
日本でケニアのコーヒーを見かけることが少ないかもしれませんが、ケニアのコーヒー豆は世界的に知名度が高いです。
ケニアのコーヒー豆は焙煎度によってコーヒーの持つ旨味が変わるため、色々な味の表現が可能です。
例えば、浅煎りのコーヒー豆を使ったコーヒーは甘みと酸味の中間の味を、中煎りで作られたコーヒーはキリッとした苦味と甘みやコクが楽しめます。
浅煎りで楽しまれている場所が多いこともあり、ケニアの豆でコーヒーを淹れた時は旨味と甘みを兼ね備えながらもまろやかな酸味が口の中で芳香が広がります。
特にコーヒーの持つ酸味と甘みの中間にある旨味が好きな人にとっては、ハンドドリップで飲むのにオススメなコーヒー生産国です。
浅煎り、中煎り、深煎りの違いとは?
コーヒーはグリーンビーンズから焙煎するときに、焙煎具合で浅煎り・中煎り・深煎りに大きく分けられます。コーヒーの焙煎具合は酸味・甘味・苦味の3つのバランスが整うところで決定し、焙煎具合が浅いほどコーヒーから酸味を感じやすく、深煎りにすると苦味を多く感じやすくなります。
また、コーヒーの淹れ方で焙煎具合が変わりますが、日本で親しまれている手で淹れるコーヒーは浅煎りや中煎りの豆を使われることが多いです。
世界最古のコーヒーブレンドモカで有名「エチオピア」
エチオピアというと世界最古のコーヒー豆ブランドと言われているモカが有名です。
モカは世界最古のコーヒーブレンドで人々から慣れ親しまれているのもあり、色々な人からエチオピアのコーヒーは人気です。
エチオピアの豆はとてもクリアで芳香な味が楽しめる上に、甘味と酸味の絶妙なバランスがベリーやシトラスといった味が楽しめます。
ミルクコーヒーで飲むとフルーツミルクとほんのりとしたチョコの味、浅煎りのブラックコーヒーで飲むとコクと酸味が口の中に広がります。
フルーティーなコーヒーが好みの人やスッキリできるコーヒーが好きな人には大変オススメのコーヒー原産地です。
バリスタがおすすめするコーヒーはこちら!
個人的なコーヒー事情になるのであくまでも参考のひとつになりますが、ブラックで飲む際は“ホンジュラス””エチオピア”の2つを買うことが多いです。
ホンジュラスのナチュラルプロセスを試した時は、フルーティーな甘味が口の中に広がって、紅茶にも近いような思わずまた一口飲みたくなる印象でした。
もちろん天候や土地の状態などの要因でその年によって味が変わりますが、飲みやすいコーヒーで季節が来たらよく飲むことが多いです。
またエチオピアのコーヒーはウォッシュプロセスだとスッキリした後口を感じられること、シトラスやラズベリーといった程よい甘味と酸味が好きなので、朝ご飯のお供や休憩時のひと息でよく淹れます。
また安定してクオリティが高いのも選ぶ理由のひとつです。
その時の気分によってウォッシュトプロセスやナチュラルを選ぶのですが、不思議とエスプレッソは独特のフルーツ感が強くなるのでウォッシュプロセスのものを選びます。
こればかりは個人によって様々なので、飲んで試して自分の傾向を知ることが1番良いかもしれません。
自分好みのコーヒーを探してみませんか?
同じ国のコーヒーを飲んでも、バリスタの淹れ方やその時の豆の状態で味は変わるものの、風味や大きな特徴は比較的似ています。
そのため、一度自分の中で印象に残ったコーヒーを見つけると、同じ国のコーヒーや同じような特徴のあるコーヒーを無意識に探しているかもしれません。
現に私もカフェでコーヒーを飲むときは、どこの豆を使っているかを見てからコーヒーを選ぶこともあり、コーヒーの沼にハマっているなと感じます。
「あの風味のコーヒーが恋しい」「自分の好みがある」という人はコーヒー豆の生産地やプロセスを確認し、気に入った味があればコーヒーの特徴をメモするなどして自分好みのコーヒーを見つけてみてください!