「バリスタってコーヒー淹れるだけだと思っていませんか?」NZ在住のバリスタが語る1日の流れを紹介

「バリスタが入れた本格的なコーヒーをお楽しみください」

なんて言葉を耳にしたことがありませんか?
カフェの店員さんとバリスタの呼び名に違いがあるのかと思う方もいるかもしれません。
もしくは「バリスタ=コーヒーを淹れるだけ」という認識の方もいるのではないでしょうか。半分正解で半分不正解といったところかなと思います。

では実際に「バリスタ」がどんな仕事をしているのか気になりませんか?
今回はニュージーランドでバリスタとして働いている私が、どんなバリスタの一日を過ごしているのかをお届けしたいと思います。

バリスタってコーヒーを淹れるだけじゃない?

バリスタの風景
バリスタの風景

バリスタは確かにコーヒーを淹れるお仕事という認識では間違いありません。しかしその裏側では、たくさんの知識と技術が必要な職業で、簡単なお仕事ではなく情熱が必要なお仕事です。

コーヒー豆の生産から収穫・精製された後に出荷され、焙煎士によって焙煎されるまでのコーヒー豆を全ての過程と想いを伝えるコーヒーをバリスタは伝えなければいけません。なぜなら、私たちの目の前にコーヒーが出来上がるまでには、多くの物語が詰まっているからです。

バリスタがコーヒーを淹れるまでに、お客様に美味しいコーヒーを届けられるために全ての過程とコーヒー豆について学びます。そしてコーヒーを淹れる一つひとつの動作を何百回も繰り返して、初めてバリスタとして働けるようになります。

「コーヒーを淹れるだけのバリスタはアルバイトでも簡単になれる」なんてことはなく、向上心と知識の吸収力があってこそなれる職業です。目の前の一杯のコーヒーに詰まった農家の方々の想いと、お客様を繋げられるのがバリスタだと思っています。

バリスタ生活の1日を覗いてみよう!

バリスタの一日
バリスタの一日

ニュージーランドのバリスタで働いて2年以上になりますが、コーヒーを焙煎しているカフェで働いていることもあって、毎日コーヒーの悩みがつきません(笑)
それでもバリスタ生活の一日の流れはどこも変わらず、たくさんのお仕事があります。仕事の流れの一例であることと、日本とはまた違った風景になりますが、私がバリスタとしてどんな風に仕事をしているのか紹介します!

オープン作業

カフェのオープン
カフェのオープン

ニュージーランドの朝は早く、通勤前の一杯や目覚めのコーヒーを飲みに来るお客さんが多いです。それもあって、朝は6時〜6時半から働き始めます。
(朝が早すぎて、夜の星空を見れなくても朝の星空がもれなく見られます)

最初はエスプレッソマシーンを使えるように、起動させてマシンのボイラーの温度を上げます。その間にコーヒー豆屋ミルクの準備をしておきます。
全ての準備ができたら、最初はコーヒーのレシピ作りです。コーヒーは焙煎鮮度によって味が変わるため、その日の豆の状態に合わせてレシピを決めます。他にも気温や湿度、天気などもコーヒー豆の状態を変える要因となるため気をつけています。

レシピ作り
レシピ作り

コーヒーのテイスティングをしながら、何gのコーヒー豆を使うか、どれくらいの抽出時間で何gのエスプレッソの抽出割合にするかを決めたら、ミルクコーヒーとブラックコーヒーを作って味を確認します。
コーヒーの味が酸っぱすぎず、苦すぎない中間の甘みが感じられる部分を見つけることが美味しいコーヒーを作る上で大事な最初の仕事です。

オープン作業にたくさんの時間はかけられないため、結構時間は切羽詰まっていますが、準備ができたらスタッフのコーヒーを作って開店です!

営業中

コーヒー
コーヒー

ニュージーランドでは1日に何杯もコーヒーを飲む人は多く、一度決めた場所のカフェには毎日通うというくらい常連のお客様がたくさん来店します。そのため、朝のオープンから仕事が始まるまでの時間帯は結構忙しいです。

コーヒーを淹れることもあれば、注文を取りつつ何気ない会話を交わします。コーヒーを作るだけが仕事ではなく、お客様がどんなコーヒーが好きでどんな生活を過ごしているのかなど他愛のない会話でリレーションシップを作ります。バリスタの作る技術ももちろんですが、仲がいい人に作ってもらうだけでも安心感と美味しさが増しませんか?

その間にも、気温の変化やグラインダーの温度などの原因でエスプレッソが変わるため、調整をしつつコーヒーを作ります。カスタマーサービスとコーヒー作りの両立は結構難しいですが、一杯のコーヒーは安いものではないため、コーヒーを楽しんでもらうことを意識してます。
誰かの朝の始まりを作ることができると思ったら、楽しい仕事に感じませんか?

コーヒーを淹れるための練習や勉強

カッピング
カッピング

コーヒーを淹れるのは毎日の積み重ねですが、もちろん技術の向上や勉強は欠かしません。ラテアート一つにしても、何度も動画を見直してはイメージを積み重ねてから実践してみます。綺麗なラテアートを作るのは本当に難しいんですよね。
普段はスタッフ用のコーヒーで練習して、成功したらお客様に提供しています。

他にも焙煎したコーヒー豆をスタッフを集めて、カッピング(コーヒーのテイスティング)でそれぞれのコーヒーに対する味の感想を共有します。コーヒーを淹れる過程で、コーヒーがどんな風味を持っているのかを知ることはとても大事なのです。

また自分の店のコーヒー豆のみでなく、他店のコーヒー豆のカッピングをしたり、エスプレッソやハンドドリップでコーヒーを淹れて味の比較をしています。毎日のルーティーンではなく、色々なコーヒーを定期的に試して勉強という名の娯楽を楽しんでます。

クローズ

クローズはしっかり使ったものを専用の洗剤を使って洗浄、そしてコーヒー周りの片付けです。どうせ明日も使うとは思わずに、ちょっとした汚れがコーヒーの味を変えてしまう原因になるので、誰からみても気持ちがいいくらい綺麗にします。

しっかりと次の日のために、様々なコーヒー用品やミルクの補充を忘れずにします。そうすることで次の日の朝に慌てることなく、ゆとりをもってお店を開けることができます。

世界で通用するバリスタというお仕事

バリスタの一日
バリスタの一日

バリスタは世界中に存在しており、英語があれば世界中のバリスタと繋がることができます。普通の飲食業という括りではなく、海外ではスキルを持ち合わせたバリスタが重宝されるのです。
では一体どういった風にバリスタという職業が海外と繋がれるのかを紹介します。

ワーキングホリデー制度の利用

バリスタの技術があれば、ワーキングホリデーを利用して海外で働くことができます。英語の勉強が新たに必要となりますが、日本とはまた違った環境で働くのは楽しく未知の体験もたくさんです。
また現地のバリスタのみでなく、他の国からワーキングホリデー制度を利用したバリスタとも出会えるため、いろんな世界のバリスタやコーヒー事情について知れます

バリスタのスキルを競う競技会の開催

コーヒーのラテアートやハンドブリューなどのバリスタチャンピオンシップに出場し,日本大会で優勝すると世界大会に出場することができます。コーヒーは世界共通の飲み物なので、バリスタという仕事だけで世界全国という大きな舞台に立つ機会が生まれます。
誰でも気軽に参加できる資格があるので、挑戦したい方やいい刺激をもらいたい方におすすめです!

一度足を運んでみてほしいカフェ

カフェの風景
カフェの風景

日本や海外でバリスタとしての経験を積み、毎日たくさんのお客様にコーヒーをお届けしているカフェはたくさんあります。その中でも私がおすすめするカフェをいくつかご紹介します。

LUCENT COFFEE

メルボルンでバリスタ修行した夫婦が、季節ごとのシングルオリジンのコーヒー豆を使用してコーヒーを淹れています。白を基調とした店構えで思わず見とれてしまうお店です。
エスプレッソとハンドブリューの両方が楽しめるお店で、浅煎りのフルーティーなコーヒーには毎回感動します。

Okaffe kyoto

2008-2009年のバリスタチャンピオンシップで優勝した、バリスタの岡田さんがオープンするカフェです。海外風をモチーフにしたカフェが多いものの、Okaffe kyotoは日本ならではの喫茶店の雰囲気が漂っています。
コーヒーとフードの組み合わせは抜群で、プロの淹れるコーヒーは一味違います。

LIGHT UP COFFEE

豆の味を最大限に生かした浅煎りのコーヒーをメインに楽しむことができます。季節に合わせたコーヒーデザートを作っており、果実味の溢れたコーヒーとの組み合わせは抜群です。
色んな国のスペシャリティコーヒーを楽しみたい方にはおすすめのお店です。

バリスタはみなさんの1日の始まりをお届けします

今回は私が実際に働いている、ニュージーランドでのバリスタの一日の仕事について紹介しました!
大変なことも多いものの、それでもお客様と毎日のやり取りやバリスタ同士のコーヒーについての議論は、働くやりがいと楽しさがあります。

日本だとドリップコーヒーを扱うカフェが多く、もっと丁寧な仕事が求められるカフェが多いかと思います。日本のコーヒーはレベルが高いと言われることが多いので、自信を持って働ける職業です。
これを機会に、改めてバリスタが作るコーヒーを味わってみませんか?

この記事を書いた人

かわもん

ニュージーランド在住のバリスタライター。
コーヒーと山と自然が生活の基盤です。