「広東料理といえばこれ!」
とすぐに広東料理が何なのか思いつく人は少ないのではないでしょうか?
日本だと中華料理・中国料理は中国全土の料理から人気のものを集めたお店が多く、地方ごとに異なる料理の違いを知らないで食べている人がほとんどです。
定番の北京料理や上海料理であればどんな料理があるのか思いつくかと思いますが、日本人に親しみやすい広東料理は思いの外知られていません。
そこで今回は、中華料理が好きな人にこそ知ってほしい広東料理について、私がオススメかつ日本人にも好きになってもらえる広東料理を中心に紹介していきます。
中国料理は地域によって料理文化が異なるって本当?
中国では主に北京料理・上海料理・四川料理・広東料理の4つに分けられ中国四大料理に区分されます。
中国国土がとても大きいため、それぞれの地方で獲れやすい食材や気候といった違いによって、違った味付けや料理の仕方が好まれています。
北京料理(北京ダック・水餃子)
北部の北京では、餃子や麺類といった小麦を使った料理が好まれており、特に冬場はとても寒いため体を温めるニンニクやネギを使った料理やしっかりした味付けが特徴的です。北京ダックや水餃子、羊肉を使った火鍋がよく食べられます。
上海料理(豚の角煮・上海蟹の蒸し物)
次に上海は川や海に囲まれていることから魚介類を使った料理が特徴的です。魚介から取れる旨味をしっかりとふんだんに生かす蒸し料理やスープ、黒酢を使ってあっさりとした炒め物料理が好まれます。また日本に近いこともあり、米に合うような料理も好まれていて、豚の角煮や上海蟹の蒸し物などが有名です。
四川料理(麻婆豆腐・坦々麺)
辛いもので有名な四川は中国の西部に位置しているため海の幸は少ないものの、川の幸や山菜をふんだんに利用した料理が有名です。夏の暑さと冬の寒さに備えるためにエネルギーをつける一環として、特に麻辣(痺れる辛み)と呼ばれる辛味が好まれていることから、四川料理が辛いというイメージが定着しています。辛い料理だけではありませんが、代表的なものとして麻婆豆腐や坦々麺などが挙げられます。
広東料理(酢豚・油淋鶏)
最後に広東は大きな貿易港があることから国内外の食材が手に入り、魚介や山菜からお肉まで幅広い食材が豊富です。そのため料理に情熱がとても高く、中国の中でも一番食べ物が美味しい地域と言われています。あっさりとした味付けが好まれつつも、バリエーション広く西洋の調味料を使うなどして素材の味を生かした料理が楽しめます。お茶と共に楽しむ飲茶や酢豚、油淋鶏といった日本でも定番の料理が本場の広東料理です。
北京料理: 小麦料理が多くしょっぱい味付けの料理が多い
上海料理: 海鮮を使い黒酢を使ったあっさりした味付け
四川料理: 山菜や川の海産物を使った辛い味付け
広東料理: 豊富な食材を使ったあっさりした味付け
広東料理は日本料理好きと相性がGOOD!
日本料理と広東料理の傾向がとても似ていることにお気づきでしょうか?
それぞれの食材の本来の旨みを残したまま生かして調理する広東料理と、あまり手を多く加えずに食材の味を生かす日本料理は、食材の味を堪能するという面で似ています。
また広東料理によく使われる調味料は塩胡椒・醤油を中心に、オイスターソースで濃厚な味付けにしたり片栗粉を使ってとろみをつけたりと、どの料理も日本料理に似た味付けです。
他にも漢方にも詳しい地方で、薬膳を取り入れたスープや食材の組み合わせなど、体に優しい料理が多いため日本料理が好きな人には相性がいい中国料理とも言えます。
日本人好みのオススメ広東料理
私が広東料理で好きなものを挙げたら、きりがないくらい好きな料理がたくさんあります。
酢豚や飲茶といった定番の食べ物は毎日食べたいくらい食欲がそそられ、他にもあまり知られていない広東料理があるんです。
今回は広東料理の中で定番とは違うものの、見つけたら食べてほしい料理を6つ紹介します。
1.ローストダック/ローストポーク
中国といえば屋台やレストランにローストされたお肉が、ショーケース内に吊り下げられているのを見たことがあると思います。
ローストダックやポークは中国では定番の食べ物で、特に広東地方では誰もが愛する食べ物のひとつです。
ローストダックは本来固い鴨肉を細かな手順で下準備しオーブンに入れることで、とてもジューシーかつ柔らかいお肉が堪能できます。
また、ローストポークはポークベリーにソースを数日漬けたものをオーブンに入れて焼き上げることで、とてもトロトロでソースの香りが口の中に広がるため、豚の角煮と似つつもまた違った豚肉が楽しめます。
特にローストポークは焼き上げる段階で皮の部分がパチパチと音を立てながらぷくぷくと膨らみ、焼きあがった頃にはせんべいのようになってお菓子のような部分が出来上がり、一度食べると食感と味にハマってやめられません。
トーストダックもポークも少し甘めのソースの味とお肉のジューシー感が口の中に広がるので、白米があればペロリと食べられちゃう上に、もしビールがあれば最高のおともになります。
2.スチームチキン
スチームチキンはその名の通り蒸したチキンなのですが、これも広東ではシンプルかつとても美味しい食べ物で親しまれています。
鶏肉を蒸す前に生姜や醤油などでしっかりつけたものを蒸しているので、鶏肉全体に味が行き渡り柔らかい食感に仕上がります。
「シンプルだからこそレストランで食べるのはもったいないかな」と思ってしまいそうですが、食べてみるとシンプルだからこそ鶏肉の旨みを堪能できる広東料理なので、試してみてほしい食べ物です。
生姜のすっきり感と醤油と塩味の塩っぱさが何杯もご飯をおかわりしたくなり、日本料理に近い調理方法と味付けだと思います。
3.ライスロール
ライスロールは広東の飲茶で定番のメニューで、甘い味付けのBBQポークや鶏肉などを米粉を使った皮で包んだ食べ物です。
一見簡単そうな食べ物ですが、意外と作るのは大変で米粉とでんぷん粉の皮を上手にプルンプルンに仕上げるのが難しいそうです(実際に広東の人に聞きました。)
イメージとしては水餃子の皮よりとても柔らかく、歯ごたえが少ないのでつるんと簡単に食べることができます。
具のお肉と皮の相性はとても抜群で、なかなか他では味わえる食べ物でないので飲茶で見かけることがあったら試してみてほしい広東料理のひとつです。
4.八宝菜
八宝菜は多くの具材を意味する「八」から、肉や海鮮、野菜を色とりどりの具材を炒めた料理です。
日本でも一般的で知っている人は多いかと思いますが、比較的似ており具材の違いくらいで日頃から中国料理として馴染み深い食べ物です。
オイスターソースや醤油を使ってさっぱりとしながらも奥深い味付けで、ソースのとろみがご飯ととても合います。
エビやイカなどの海鮮と豚肉、鶏肉といった組み合わせはごちゃごちゃしてそうですが、口の中ではそれぞれの旨味が広がります。
馴染みがあるものでも、一度本場の味で試してみるのはいかがでしょうか。
5.叉焼
チャーシューというと日本のラーメンの上に上にのっているものを想像しますが、中国料理の叉焼はまた違います。
豚肉にBBQソースと言われる甘いタレを漬け込み、オーブンでじっくり焼いたものが広東ならではの叉焼です。
表面が赤いのが特徴で一瞬戸惑いますが、お肉の香ばしさとソースの甘みがとてもマッチしていてたくさん食べてしまうくらい美味しいです。
どんぶり風にしたり豚まんのように皮で中身を包んで食べるスタイルが一般的で、一度試すと絶妙な甘さが恋しくなること間違いありません。
6.エッグタルト
エッグタルトは飲茶のデザートとして人気があり、日本人の舌にもとても合うちょうどいい甘さが特徴です。
エッグタルトは香港スタイルとポルトガルスタイルの2種類が親しまれており、香港スタイルはクッキー生地に中身がプリンのようなツルツルしたもので、ポルトガルスタイルはパイ生地に中身のプリンに焼き目がついています。
どちらもさっくりとした食感で、甘すぎない甘さが飲茶を食べ終わる口直しには最適で、思わず2個目を食べたくなるくらい軽い仕上がりです。
エッグタルトは日本でも様々な国のスタイルのものが売られていますが、飲茶に行くことがある際は是非本場のものを試してみてほしいです。
これはあり?なし?少し刺激の強い広東料理
広東料理には見た目も味も美味しいものから、見た目や具材の刺激が強いながらも美味しい食べ物もあります。
食べるまでの覚悟はいるものの、一度食べてしまえば意外と美味しいと思うものもあるかもしれません。
内臓料理
内臓を使った料理と聞くと「臭そう」や「美味しくなさそう」と思う人がいるかもしれません。
もちろんそのまま調理すると臭みが残り美味しくありませんが、臭みをしっかり取り除いて下ごしらえや味付けをすることで普通のお肉のように感じることもあります。
例えば、鶏の心臓は噛みながら旨味が溢れてきたり、豚の腎臓はハムを食べている感覚になります。
内臓は体にとてもいい栄養分が十分に詰まっており、鉄やカリウム不足がある人にはオススメです。
広東では日常的に調理される内臓料理ですが、本場の味付けでは臭みより旨味がたくさん味わえるので、一度騙されたと思って食べてみて欲しい料理のひとつです。
鶏の足
東南アジアや中国に訪れた人は、屋台のどこかで鶏の足を見かけたことがあるのではないでしょうか。
私もシンガポールの屋台で鳥の足を見かけたものの、勇気がなくて食べれませんでした。
一方で、広東では飲茶の中で鶏の足は人気が高く、現地の人と飲茶に行くと毎回頼んでいます。
初めは少し躊躇しましたが、蒸す工程で足の皮の部分にソースがしっかり染み込み、食べると鶏の旨みとソースの旨味が口の中に広がって美味しいです。
惜しい点としては、特に足に肉の部分がないので食べれる部分が少なく、骨を避けないといけないので手間がかかります。
総合点として味は美味しいので、飲茶に訪れた際は思い出に食べてみるのはいいかもしれません。
(余談ですが、北京の方では調理した冷食の鶏の足があって、個人的には好みではありませんでしたが、調理次第で日本人に合うかもと感じました。)
本場の広東料理をぜひ試してみませんか?
今回は広東料理を紹介しましたが、「これが広東料理なんだ!」と驚いた方も多いのでは?
日本でも中華料理として堪能することはできますが、本場のものと比べてしまうとやはり味の奥深さが違います。
私自身も本場の広東料理を試してから、さらに中国料理を好きになったので、本場の味を試したことがない人はぜひ広東料理のお店を見つけて試してみて下さい。
日本の味にとても近いため、広東料理が好きになること間違いないありません!