TVは死んでない!「世界の危険すぎる食事」を激撮したテレ東の本気。日本人のあなたは何を思う?

「テレビって忖度(そんたく)ばかり」
「ゴシップも人気芸人も興味ない」
「昔はテレビって面白かったのに」

なんて思ってYouTubeやNetflixばかり見ている人、いませんか?

私がまさにそう。
基本的にテレビはOFF、好きな番組だけ録画しておいて、たまにテレビをつけてみては「つまらん」と思ってYouTubeに切り替える。
そんな日々をかれこれ7~8年送っています。

そんな中Netflixで見つけた「ハイパーハードボイルドグルメリポート」というドキュメンタリー番組。

あまりに過激な内容なのでNetflixオリジナルかと思いきや、まさかの地上波!テレ東!!

「危険で過酷な状況で暮らしている世界の人々は、一体何を食っているのか?」というテーマで撮られたテレビ番組です。

取材場所は、内戦が終わったばかりの南アフリカや、難民が押し寄せている国境など、とにかく危険な場所ばかり。
何がすごいって「テレ東のスタッフが現地に行ってコレ撮ってるって・・・危険すぎない?」という点。

テレビはオワコンだと思っていた脳にガツンと食らわされた一発を、ぜひ一緒に体験してください。

私が「TVは面白くない」と思う理由

「ハイパーハードボイルドグルメリポート」 を紹介する前に、なぜ私が「テレビは面白くない」と感じているのかをお話します。

テレビは決まった番組だけ録画して視聴している
テレビは決まった番組だけ録画して視聴している

「放送できないNG」増えすぎ問題

20年前は当たり前のように使えていたテーマや言葉が使えなくなった。
みんなが茶の間で面白おかしく笑えていた話が、今や差別発言。

時代が変わっていくので、しょうがないです。

特にLGBTや女性蔑視、障害のある人への発言は、タレントが少しでも口を滑らそうものならたちまち炎上。
悪気がなくても「配慮が足らず申し訳ございません」と謝罪をしなければいけない世の中です。(そもそも悪気があってコメントする人なぞ滅多にいないと思うんだけども。いたらとっくに業界から消えてる)

上記はアクマで例であり「差別とかじゃなくてとりあえず言論の自由を!」と訴えているわけでは無いです。

しかし、あまりにも放送できないNGワードが多くなりすぎていないだろうか。

調べてみたところテレビ業界に共通する放送禁止用語は無いそうです。
基本的に「視聴者からクレームがあったものは放送禁止用語となり、消えることなく蓄積されていく」とのこと。

某メディアを読んでビックリしたのが、酒飲みの芸人に対して「アル中やんか」とツッコミすることすらNGのテレビ局もあるとか。

別にそのぐらい良くない!?と思うことが、テレビ業界では規制されていく。
そしてどんどん「個人の意見・主張」がなくなる。
「グレーであたりさわりないヌルリヌルリとした気持ち悪い言葉」が増えていく。

私はこれが面白くなくて気持ち悪い。
「みんな言いたいこと言えてない」とすごく感じています。

以下は「放送禁止用語への疑念」について書かれた記事です。2016年と少し前の記事ですが、今でも共感する部分が多いので、もし良かったらご覧ください。

コンテンツが「誰かのウワサ」ばかり

「誰かのウワサ」で成り立っているコンテンツは「二番煎じ」じゃないのかなと思ってしまいます。

私が思うテレビ業界の二番煎じとは、

  1. すでにSNSなどで話題になったことを、テレビ業界のプロの技でこねくりまわしていること
  2. 不祥事や不倫など著名人の揚げ足を取ること

(1)について。

すみません。「こねくりまわす」という言葉は皮肉をこめています。ごめんなさい。
プロの技で編集し、視聴率を獲得できるのはスゴイと思います。うらやましすぎる技術です。

たしかに「テレビで初めて見る」という視聴者からすると斬新で新鮮な情報かもしれません。
でも、普段からYouTubeやTwitter、Instagramなどを使っている視聴者からすると「とっくに見た」内容ばかり。

おもしろいわけがない。

現にうちの旦那は「へー!すごいね!」と言ってテレビを見ていますが、私はすでにネットで知っている情報なので「・・・・」となっていることが多々あります。そしてスマホでYouTubeを見だす嫁。

(2)について。

視聴率を獲得するために、悲劇や災害、不倫や汚職などネガティブな話題を取り上げることが重要なことは重々承知しています。
「事実を報道する」のは良いと思う。
でも「揚げ足を取る」のはどうかと思います。
(まぁ、でも、だから面白いと思う人がいるのか?個人の嗜好でしょうか)

さらに言うと、揚げ足取りで放送時間を何%も占有していることに大きな疑問があります。
問題提起しているわけでもなく、ただただアラ探しをしているような。

アプローチの仕方がもっと他にないのだろうか。

だから「私はテレビが面白くない」と思っています。

「ハイパーハードボイルドグルメリポート」というTV番組

テレビ業界におけるSNSのこねくり回しも不祥事のアラ探しも興味がない。
ここまでの話に少しでも共感した人がいれば、ぜひ観てほしいのがこちら。

「ハイパーハードボイルドグルメリポート」

まずはこのテレ東公式スピンオフ動画を観てほしい。
時間のない人は「2:58~」か「6:24~」がインパクト強いので、飛ばしてどうぞ。

声を大にして言いたいのが、
これが、
地上波で、
放送していた、
という事実。

人間の肉感、体温、汗、空気の温度。
取材陣に向けられる怪訝な目。
「戦禍で人肉を食った軍人を知っている」という、現地の一般市民のことば。

テレビ東京は業界の中でも鋭角でブッ飛んだ番組を制作している局なのは知っていました。
それでも、この内容はすごい。

上記のスピンオフ動画は放送枠におさまりきらず、YouTubeで公開することになったものです。
それでも、この熱量。
実際の番組は、もっともっともっと危険で目をそむけたくなるようなリアルな内容です。

2021年8月5日現在「ハイパーハードボイルドグルメリポート」の本編が見れるのは有料サブスクリプションのみです。
私はNetflixで全編視聴しました。すでにご登録されている方はここからどうぞ。

【厳選】目に灼きついた衝撃エピソード3選

ここで、いくつかの衝撃的なエピソードの中から「一生忘れないであろう、目に灼きついて離れないエピソード」を抜粋してご紹介します。
つたない文章で伝わらないかもしれない。
でも、このテレビ番組の臨場感が、少しでも伝わってほしい。

ケニアのゴミ山で暮らす少年の「プラスチック飯」

テレ東取材班がたどり着いたのは、ケニア。
幼児から大人までスリや盗難をしてお金を稼ぎ、少しのお金でシンナーを買っては24時間吸引しながら生活するという環境です。(取材班はこのシンナーグループとも食事を共にします)

シンナーに染まった人たちですら危険で近づかない場所。
それが今回の舞台「ケニア最大のゴミ処分場ダンドラ」です。
3,000人以上がゴミを漁り、プラスチックを集めてはkg換算で売り、日銭を稼いでる場所です。

ゴミの堆積による自然発火で、そこら中に煙があがっている
ゴミの堆積による自然発火で、そこら中に煙があがっている

ゴミ処分場で生活する人にとって、プラスチックは「お金」であり「よく燃える着火剤」
コメを炊くときも、暖をとるときも、燃やすものはプラスチックごみ。
生活する人は目をやられ肺をやられ、いつ死んでもおかしくない環境の中で生活しています。

そこで出会った18歳の少年ジョセフ。
目はうつろで笑顔は無く、おそらく肺を壊していて常に咳き込んでいる少年です。

取材班はジョセフに「メシを食べるまで撮影させてほしい」と交渉します。

そして、彼が1日何時間もかけてプラスチックのゴミを6.5kgも集め、売った代価は90円。
現地の屋台でスープ一杯も買えない金額です。

それでも米と豆を購入し「メシを作る」というジョセフ。

ゴミの中からサビで真っ黒になったアルミ缶を発掘。
ゴミのアルミ缶の中には、20円で買った水と、70円で買ったコメ・豆を入れ、煮込みます。
燃やすのはもちろんプラスチックごみ。

くたくたに煮あがった赤飯のようなコメを入れる器は、周りに落ちていたゴミのペットボトル。
そして、泥付きのスプーンで赤飯をすくって食べるのです。(そしてこれを一緒に食べる取材班…!)

食事を楽しむわけでもない。ただ生きるために腹に入れるメシ。
うつろな目で、無心にコメを口に運ぶその姿が目に灼きついています。

取材の1週間後、ジョセフはゴミ山の抗争に巻き込まれてお腹と背中を刺され入院しました。常にこの危険が伴うダンドラ。あまりのリアリティに絶句するMC。この危険を知っていながらも取材したテレ東スタッフたち。すごすぎます。


日本で報道されないリアル「難民支援パスタ」

「難民」の存在と発生理由については、それなりに知っていたつもりでした。
でも私に足りなかったのは「想像力」。
実際の難民が「どんな人」で「どんな服装」で「どんな顔」をして「どう生活しているか」までは、考えたことがなかったんです。

それをリアルに思い知ったエピソードです。

世界には「危険」という理由から祖国を逃げ出す難民が溢れている
世界には「危険」という理由から祖国を逃げ出す難民が溢れている

取材場所はセルビアとクロアチアの国境。
アフガニスタンなどから命からがら逃れてきた一般市民たちが、国境を越えられず立ち往生している場所です。

日本で報道されるアフガニスタンの様子は、恐ろしい形相で銃を手にするアフガン人ばかりですが、逃れてきた難民たちは驚くほどフレンドリーで明るい。
「(他国の)人は俺たちに全然違うイメージを持っているよね」と話します。

お金も仕事もない難民たちが集まるのは郊外の廃工場。
警察の目をかいくぐり、拠点を移動しながらも「難民支援団体」によって配給される食事をたべるために集まります。

とはいえ、日本のような「被災者用テント」や「簡易ベッド」があるはずもなく。
あるのは廃工場のコンクリートの壁と床だけ。家具もなければ布キレ1枚すらない環境。

ここで10代から30代までの難民男性たちが、国境をこえるための機会を狙い、食事をするんです。

難民支援団体の配給がなければ、どうやってメシにありつくのだろう
難民支援団体の配給がなければ、どうやってメシにありつくのだろう

この日の配給は「カレー風味のトマトパスタ」と、パンひときれ。
夜更けには警察がやってくるため、つかの間の食事をみんなで楽しみます。

私が衝撃的だったのは、みんなすごく明るいフツウの青年だったこと。
でも取材をしていくと「兄が爆弾で死んだ」「タリバンとアメリカの抗争に巻き込まれた」と過酷な背景を背負っている。

なんだこの状況は・・・・。
頭が混乱して言葉を失います。

国境超えはもちろん、違法です。
見つかれば撃たれるか、投獄されるか、殺される。だからトラックの裏にしがみついたりして密入国をするそう。

売春で稼ぐリベリア少女兵の「葉っぱカレー」

1989年~2003年に長く続いたリベリア内戦。
政府軍と革命軍が何度も激しい抗争をした結果、首都は荒廃。

そのときに戦力として駆り出されたのが「少年兵」です。
少年兵は恐怖から逃れるためにコカインを常用して戦いました。

内戦が終わっても、貧しく危険な国であることは変わっていない
リベリアは西アフリカの海に面した共和国

そして内戦が終了し、少しずつ生活を取り戻したリベリアに、テレ東取材班が入ります。

戦争に使われた少年兵たちはドラッグに溺れ、仕事もなく、精神状態もフツウではない。
「そんな彼らがいま、何を食っているのか?」を取材するというものです。(何度も言いますがテレ東ほんとすごい)

舞台は「元少年兵」が多く住んでいるリベリアの墓地。

「住んでいる」というか「墓泥棒の軍勢が巣食っている」という感じです。
墓地の入口は鉄格子で囲われ、カメラを持って近寄ると「中に入りやがれ」と、まるで獣のような目をした元少年兵たちがワラワラと大声をアゲながら集まってくる。怖すぎる。

そこで出会ったセクシーな28歳の女性、ラフテー。
仕事は「娼婦」。お腹がすいたら夜道を歩いて客に声をかけ、身体を売って現金を稼ぎ、その足でその日食べるごはんを買いに行き、命をつないでいます。

客引きに同行する取材班。明かりもない真っ暗で荒れ果てた夜道をラフテーと共に歩きます。
通訳が「これ以上は危険だからやめておけ」と、取材班を止める場面がチラホラ。

しばらくして客を見つけたラフテーは、がれきの中に布一枚隔てた「仕事部屋」へと消えていきます。
暗闇の中「コト」が終わるまで待つ取材班。

今宵の報酬は200円。そのお金を持って、真っ暗な屋台へ足を運びます。

食べるのは「ジャガイモの葉っぱカレー」150円。
美味しそうに頬張るラフテーが発した言葉は「ご飯食べて帰って眠れる。幸せだよ」

言葉が出ませんでした。

【余談】面白いかどうかで計れない「現実」の世界情勢

戦争、内戦、貧困、難民などを取り上げ、(スタッフが危険に身を投じすぎるという意味で)放送ラインぎりぎりの番組を作ったテレ東に感服です。

私がこの番組を「面白い」とした理由はひとつ。
日本のメディアで報道されない現実を知れるから。

最後の最後に申し訳ないのですが、正直なところ、このコンテンツを「面白いテレビ番組」で終わらせてほしくないと思っています。

日本人のあなたは、この番組を見て何を感じるでしょうか?
この世界の現実を目の当たりにして、今日も同じ1日を送れるでしょうか?

あまりに凄惨な現実を突きつけられるため、最後まで観ることができない人もいるかもしれません。

面白いと思うか、面白くないと思うか。
汚いと思うか、かわいそうと思うか。
遠い国の出来事と思うか、明日は我が身と思うか。

何を感じるかは人それぞれ。

まとめ

「最近のテレビが面白くない」と感じ始めてから8年が経ちましたが、8年ぶりに「これはすごい!」と思わされた番組でした。
テレビマンってすごい。テレ東がすごい。

衝撃的なエピソードがてんこ盛りなので、タイトルのとおり「ハード」な番組ですが、位置づけはドキュメンタリーというよりバラエティ寄りかと思います。

MCも小籔さんということでもう少し気を抜いて(?)見れるかと思います。たぶん。
ぜひ一度観ていただきたいです!

「ハイパーハードボイルドグルメリポート」は不定期放送されていたテレ東の番組で、すでに放送が終了しています。
一部ネット情報では「あまりに危険すぎるため上層部が放送禁止にした」というウワサもありますが、あくまでウワサなので真実はわかりません。

ハイパーハードボイルドグルメリポートの公式サイト

最新作は「Paravi(パラビ)」で公開中

この記事を書いた人

ぐっさん

30代後半のアラフォー酒豪女子。好きなものは酒と焼肉とわんこ。
バイクで1人キャンプをするのが目下の目標。
YouTubeで「ぐっさんのアラフォーお悩みちゃんねる」を運営中。