仕事終わりの一杯や夏に欠かせない大人の飲み物といえば“ビール”ではないでしょうか。
ビールは日本人の乾杯の飲み物としてかかせないくらい身近で定番の飲み物です。
実は日本でとても馴染み深いサッポロやキリン、オリオンビールといった種類が海外でも親しまれており、日本食レストランから海外のローカルレストランでもよく見かけます。
日本の定番ブランドビールはどれもラガービールで、麦のホップの苦味や後口に残る甘味を楽しむ物が多い一方で、クラフトビールで見かけるエールビールが日本市場の中では少ないです。
ニュージーランドではクラフトのエールビールがとても人気で、同じブランドのビールでも種類豊富なフレーバービールが楽しめます。
そこで今回は、ニュージーランドで人気のGarage Projectを中心に、エールビールの味がどんなものか、リアルな感想とともに紹介します。
クラフトビールで見かけるラガービールとエールビールの違いとは?
ビールには日本で親しまれている“ラガービール”とフレーバーをもつビールと呼ばれる“エールビール(Ale)”があります。
ビールの原料となるのはホップ・麦芽・水の3つで、大きな違いとしては生産過程に使われる発酵酵母です。
ビールの製造方法がどう違うのか、それによってどんなふうに味が異なるのか軽く紹介します。
ラガービールの特徴
ラガービールはラガー酵母(下面発酵酵母)と呼ばれる酵母が使われています。
名前の通り、発酵過程時に低温で発酵させるため酵母がタンクの底に沈むことから名付けられました。
低温で発酵させることで酵母の活動が少ないことから、生成過程に出る香りや味が少なくなるものの雑菌の増殖を抑えるといった利点や、熟成時にえぐみの原因を取り除くことができるため雑味のないクリーンな味に仕上がります。
発酵、熟成期間は長めになりますが、キレのある味わいを作る秘訣なのです。
エールビールの特徴
エールビールはエール酵母(上面発酵酵母)と呼ばれる酵母が使われており、ラガー酵母と反対の性質を持ちます。
エール酵母は発酵過程時に常温から高めで発酵させるので、酵母が麦汁の上面に浮かび上がることから呼ばれています。
ラガーより高めの温度で発酵するため酵母が活発になり、アルコール度数を高めたり味に深みを出したりと様々な働きをすることでビールにコクと旨味が生まれるのです。
エールビールにフレーバーが生まれる要因はエステルと呼ばれる香り成分からできており、りんごやグレープフルーツといった香りによって味わい深いビールが完成します。
さらにビールの中にフレーバーを生み出す場合は、基本材料に加えて副材料としてフルーツやスパイス、チョコレートなどを加えることでより個性豊かなビールを楽しむことができます。
【バリスタ目線の余談】
特に外部から香り成分を入れずにビールの後口にフルーツの香りや味を感じるのは、コーヒーを飲んだときに感じるフルーツの例えと似ているので、ある意味コーヒーとエールビールは似ていると言えるかもしれませんね。
ニュージーランドの定番のお酒はワインだけではない!
ニュージーランドをイメージしたときに思いつくお酒はワインではないでしょうか。
オーガニックに力を入れているニュージーランドでは、身体に優しいオーガニックワインや土地と気候を生かした質の高いワインをたくさん生産しています。
その一方で、ニュージーランドの色々な都市でクラフトビールの生産が活発で、都市ごとで人気のクラフトビールが作られています。
ラガーやIPA、APAなど同じ名前のビールがあるものの、ブランドで風味や味が異なるので自分好みの味を見つけてビールを楽しんでいる人が多いです。
ビール=苦いの概念が少ないのがニュージーランドらしいビールだと感じます。
「Garage Project(ガレージプロジェクト)」はニュージーランドで誰もが耳にしたことがあるくらい人気
Garage Projectはニュージーランドのウェリントンに位置するビール醸造所です。
2011年にJosさん、Peteさん、Ianさんによって設立され、ニュージーランドやオーストラリア全土で親しまれるほど有名なビールとなりました。
特にウェリントンのビール醸造所ではタップビールのテイスティングが可能で、カカオの香りやパイナップルなど予想を超えたフレーバーがあり、思わず選びきれないのではないかというくらいのビールの種類が楽しめます。
エールビールやラガービール、ワインといったお酒からユニークなデザインのTシャツや雑貨など幅広く展開していっています。
Garage Project(ガレージプロジェクト)のビールを紹介!
ニュージーランドで親しまれているGarage Projectでは様々な人に親しまれやすいように、多くの種類のビールが生産されています。
今回はその中でも手軽に手に入るものの中から、定番のビールをいくつか紹介します。
①1番シンプルなビール「Beer」
BeerはGarage Projectでも1番シンプルなビールです。
飲んだ時の苦味はとても少なく、第一印象は柑橘やりんごのようなフルーティさでクリアな味と香りが口の中に広がります。
後口に苦味を少し感じますが、ビールならではのホップの香りがちょうどいい甘味と苦味がマッチします。
バーベキューが定番の夏には欠かせないスカッとできて美味しさを楽しめる一本じゃないかと思います。
②苦味×果物のジューシーな甘味「Fugazi」
Fugaziはアルコール度数が2.2%とアルコール度数が高くないものの、最初口にした時はホップの苦味が一気に感じました。
パッケージに見合った第一印象と言わんばかりにパンチがあって、お酒を飲んでいる感から始まります。
しかし、その苦味も最初だけで後からりんごやメロンのようなジューシーな甘味が後口に残るため、思わずもうひと口と飲みたくなるビールです。
ラガービールのような苦味が好きな人には試してみてほしいフレーバービールのひとつです。
③フレーバーの香りが最高「Transit of Venus Hazy IPA」
Transit of Venus Hazy IPAはアルコール度数が5.5%と少し高めですが、フレーバーの香りが強くて個人的には一番好きなビールです。
香りが強い分フルーティーさを感じやすいのもありますが、最初にしっかりとしたホップの苦味からグレープフルーツの柑橘感が残るのでスッキリと飲むことができます。
苦味もフレーバーも強いためちょうどいい後口が残り、お酒を飲んでいる感が感じられます。
個人的にビールが好きな人には是非試してみてほしい一本です。
④初めてビールを飲む人におすすめ「BLISS」
BLISSは初めてビールを飲む人やラガーのビールを飲む人に試してみて欲しいビールのうちのひとつです。
日本のもので言うと、ラガービールは麦の苦味が強くてなかなかビールを好きになれない人が多い一方で、BLISSはあっさりした味で苦味も少なく、少しながら麦ならではの甘味を感じます。
アサヒビールや麒麟などのビールを飲みなれていると、ガツンとスッキリできる感は少ない印象ですが、あっさりした物が飲みたい人や色んな料理に合わせて飲みたい人にはオススメです。
また、日本のラガービールが好みでない人でもビールが好きになれるかもしれないひとつかなと思います。
Garage Projectを飲んでみたいという人は?
残念ながら現在のところ、Garage Progectはニュージーランドから日本への輸出をしていないため、お店やオンラインでの購入ができません。
取り寄せサービス等で購入することができる場合はありますが、手数料等がかかるため値段が高くなります。
そのため、Garage Progectを試したいという場合はニュージーランドに在住している人に頼むか、実際に訪れるのが最短です。
過去に世界のビールフェス等でGarage Progectが参加していたことがあるので、Garage Progectを試したい人はビールのイベントを要チェックしましょう。
ビールの輸出は行なっておりませんが、デザイン豊かな服や雑貨の購入は可能です。
フレーバービールは新たなビールのあり方!
フレーバーがあるビールは日本にいるとなかなか普段飲まないかと思います。
ラガービールで飲み慣れていると不思議な感覚になるかと思いますが、コーヒーのように苦味だけでなくフルーティーなフレーバーがあるように、ビールにも様々なフレーバーが生まれます。
ビールは苦いだけで好きではないと思っていた人にも、実はエールビールが好みかもしれません。
Garage Projectはそんなビールの観念を変えて楽しく飲むことができるので、普段の生活でも飲む機会が多いです。
エールビールを試したことがない人はエールビールで探してみて、ニュージーランドに訪れる機会がある人はぜひGarage Projectのビールを試してみてください。